ルール解説

基本ルール

ラグビーは、15人対15人で戦う球技スポーツ。チームスポーツとしてはもっとも多くの選手がフィールドに立つ。試合時間は40分ハーフの計80分。トライ、もしくはゴールへのキックによって得点を奪う。自陣を守りながらも敵陣に攻め込む、陣取り合戦を行い、両チームが目指すのは敵陣のインゴール(ゴールラインを超えた地点)。自分よりも後方にいる選手にしかパスはできず、「ボールを持って走る」「キックをする」の二つの方法でボールを前に進める。激しい身体と身体のぶつかり合いが繰り広げられるため、しばしば「ボールを使った格闘技」と言われることがある。

 

ELVとは?

国際ラグビーボード(IRB)が2008年5月1日、2008年8月1日から全世界のすべてのカテゴリーの試合で実施することを決定した、従来のルールとは異なる試験的実施ルール(Experimental Law Variations)を指す。1年間の試験期間を設けた後、再度審議を行い、2009年に正式なルールにするか否かが検討される。日本でも各レベルの試合でこのルールが実施されている。

 

得点方法

トライ(T)

ボールを持った選手が敵陣のゴールラインを越えてインゴールに入り、ボールを地面につける(グラウンディングする)得点方法。キックなどでインゴールに入ったボールを地面に押さえつけてもトライになる。4つある得点方法のうち、もっとも高得点を稼げる方法であり、もっとも奪うのが難しい。トライの後にはボーナスキックが与えられ、決めれば2点追加で計7点を奪える。トップリーグやトップイーストリーグ11では、1試合に4トライ以上を記録すると、たとえ試合に敗れてもボーナス点として勝ち点1が得られる。ペナルティトライとは、相手の反則がなければ確実にトライできていたとレフリーが判断した際、実際にトライしていなくても認められるもの。

ELV

身体がコーナーポストに触れた状態でも、インゴールにボールをつければトライが認められる。ただし、身体がタッチラインに触れていたり、ボールがコーナーポストに触れたまま地面につけられた場合は、トライは認められない。

従来は、身体がコーナーポストに触れた状態でインゴールにボールをつけてもトライは認められなかった。

 

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ゴール(G)

トライを奪った後に与えられるボーナスキック、コンバージョンキックを成功させると2点を追加できる。トライした(ボールを地面につけた)地点からタッチラインと平行の線上にある任意の場所から蹴り、クロスバーの上で両ゴールポストの間を通ればゴールが認められる。キックの方法は2つ、ボールを地面にセットして蹴るプレースキックと、ボールを地面に落してバウンドした瞬間に蹴るドロップキックがある。

 

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ペナルティゴール(PG)

プレー中に反則があった場合、反則を受けた側のチームに与えられるキック。レフリーが定める地点、もしくはその後方から蹴り、クロスバーの上で両ゴールポストの間を通ればゴール成功。ゴール(G)同様、プレースキックとドロップキックの2つの方法のうちいずれかで蹴る。ハーフライン付近、ゴールから50m近く離れた場所でPGを狙う選手もいる。キッカーの足技の見せ所。

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ドロップゴール(DG)

プレーの流れの中で生まれる、キックによるゴール。ゴール(G)、ペナルティゴール(PG)同様、蹴ったボールがクロスバーの上で両ゴールポストの間を通ればゴールが認められる。ただし、キックの方法はボールを地面に落してバウンドした瞬間に蹴るドロップキックのみ。ドロップゴールでの得点はトップリーグでも稀にしかない。

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プレー説明

パス

ボールを投げて味方に渡すプレー。平行、もしくは、後方の味方にのみパスを出せる。ボールを前に投げる行為は違反となり、スローフォワードの反則をとられる。
左右に選手が並んだ状態をラインといい、このラインに沿って隣りへ隣りへパスを回していくのが一般的。隣りの選手を越えて遠くの選手にパスを出すことを「飛ばしパス」という。また、パスが出される方向とは逆に走るプレーヤーが、ボールを持ったプレーヤーと交差してパスを受ける行為を「クロス(クロスパス)」という。「スピンパス」や「ダイビングパス」はより遠くへ飛ばす長距離砲で、スクラムハーフの選手が多様する。
単にパスをつなぐだけでは大きなゲインは望めないため、様々なサインプレーを使ってタイミング良くパスを回してゲインを狙う。パス技術、ハンドリング技術は陣地挽回には重要な技術となる。

 

キック

足でボールを蹴り、大きく陣地を挽回する手法。キックによる味方へのパスは前方へも可能となる。相手プレーヤーのいない敵陣に蹴り込んだり、取りにくいキックを蹴るなど、陣地を獲得するための駆け引きはラグビーの見どころのひとつ。また、ラグビーボールはどのように弾むかの予測が難しい。ボールをファンブルしたり予測を誤る可能性があるため、その間に陣地を獲得したり、間を詰めてタックルに行ったりできる。
サイドチェンジなどに使用し、味方のトライや前進をサポートする、高く蹴り上げるキックはハイパントキック。走りながら、ボールが地面に転がるように蹴るキックはグラバーキック。相手プレーヤーの頭上を越える程度の高さのキックをショートパントといい、自らボールに追いつき突破のきっかけを作る。ボールを蹴って進む行為はドリブルという。

 

チャージ

キックによる陣地挽回を、身体を張って阻止するプレー。ボールが身体に当たって前に落ちても、この場合はノックオンとはならない。
相手プレーヤーのキックに飛び込むため、ボールに身体を当てられずとも、プレッシャーとなりミスキックを誘える。特に、敵陣ゴール前では有効な手法で、ボールがインゴール内に跳ね返ってそれをグラウンディングすればトライとなる。

 

タッチ

ボールもしくはボールを持ったプレーヤーの身体がタッチラインに触れる、タッチラインの外に出た場合、タッチとなり、ラインアウトでプレー再開となる。ただし、タッチの外にいたプレーヤーがラインより外のボールを空中で取り、フィールド内に着地した場合はタッチとはならない。
キックによってタッチになる場合、蹴る地点、タッチの割り方でラインアウトを行う場所(地域獲得)が変わってくる。自陣22メートルラインより手前でキックを蹴り、フィールド内にバウンドすることなく直接タッチを割った場合、地域獲得は認められず、キックを蹴った地点から相手ボールラインアウトとなる(ダイレクトタッチとなる)。ただし、ペナルティキック(PK)の場合は直接タッチを割っても、タッチを割った地点からキックを蹴ったチームのマイボールラインアウトとなる。自陣22メートルライン後方からキックを蹴ってタッチを割った場合、フィールド内にバウンドしてもしなくてもタッチとなった地点から相手ボールラインアウトとなる。

ELV

パスをするなど自ら自陣22メートルライン後方にボールを戻した場合、そのボールをキックして直接タッチを割るとキックした地点に平行なタッチラインから相手ボールラインアウトになる(地域獲得は認められない)。ただし、自陣22メートルライン後方にボールを戻してから相手プレーヤーがボールに触れる、タックルをする、ラックやモールが形成される、いずれかが起こった後でキックをして直接タッチを割ると、タッチを割った地点からの相手ボールラインアウトになる(ダイレクトタッチとはならない)。
従来は、自陣22メートルライン内に自らボールを戻した後、キックをして直接タッチを割った場合でもタッチを割った地点からの相手ボールラインアウトで再開となっていた(地域獲得が認められていた)。

ELV

クイックスローインをする際、ゴールラインに沿って真っ直ぐなげるか、後方(自陣ゴール側)に向かって投げても良い。ただし、5メートルラインより奥にボールを投げ入れなければいけないルールは従来通り適用される。
従来、クイックスローインは、ゴールラインに沿って真っ直ぐ投げなければノットストレートの反則となっていた。

 

ラインアウト

ボールがタッチラインの外に出た(タッチになった)後のプレー再開方法。投げ入れられたボールを取り合う、空中でのボール争奪戦。
両チーム、ラインアウトに参加するプレーヤーは5メートルラインと15メートルラインの間に立って列を作り、互いの間は1メートル空ける。スロワーは、ボールを投げ入れる際、真っ直ぐ投げなければいけない。空中でボールを取るプレーヤー(キャッチャー)は、ボールが投入された後でのみジャンプ可能。両手、もしくは相手チーム側の手でボールを扱わなければいけない。取ったボールをタップしてレシーバーに渡すプレーを、ピールオフプレーと呼ぶ。スロワーはボールを高く投げ入れる決まりはなく、5メートルラインより奥であれば目の前の味方プレーヤーに投げ入れても良い。
ラインアウトに参加しないプレーヤーたちは、両列の間から10メートル後方の位置に立って待つ。

 

 

ELV

両チームともに、ラインアウトに参加する選手数に制限を持たない。ただし、両チーム、最低2名の選手は参加しなければいけない。また、ラインアウトに参加するプレーヤーは5メートルラインと15メートルラインの間に並ばなければいけない。
従来は、マイボールでラインアウトを行うチームがラインアウトに参加する人数を決め、相手チームはその人数以上の選手を配置することはできなかった。

ELV

ラインアウトに参加したプレーヤーからボールを受けるレシーバーを置く場合、レシーバーは5メートルラインと15メートルラインの間で、ラインアウトから2メートル以上離れた位置に立たなければいけない。
また、ボールを投げ入れない側のチームのひとり(スロワー)は、タッチラインと5メートルラインの間で5メートルラインから2メートル以上離れた位置に立たなければいけない。

ELV

スロワーがボールを離す前に、ジャンプしてボールをキャッチするプレーヤー(ジャンパー)をつかんでも良い(プレグリップしても良い)。ただし、ジャンパーの前方にいるプレーヤーは太ももより下を、後方にいるプレーヤーはパンツより下をつかんではいけない。
従来は、スロワーがボールを離す前のプレグリップは反則を取られていた。

ELV

ジャンパーを持ち上げる行為(リフティング)が認められる。ただし、スロワーが手からボールを離した後でなければいけない。また、ジャンパーを持ち上げたりはサポートする場合、ジャンパーの前方のプレーヤーは太ももより下を、後方のプレーヤーはパンツより下をつかんで持ち上げてはいけない。
従来は、ジャンパーを持ち上げる行為は反則とされていた(プレーヤーがジャンプするための手助けは認められていた)。

 

タックル

ボールを持った選手の前進を食い止める、ディフェンスの手法。他の球技スポーツでは見られない、身体と身体を激しく接触させるプレー。
タックルは、ボールを持ったプレーヤーが倒れるか、ボールが地面につくと成立となる。倒れるとは、腰、片膝、両膝、いずれかが地面についた状態をいう。なお、ボールを持たないプレーヤーへのタックルは禁止行為となっている。
タックルを受けて倒れたプレーヤーはボールを放さなければならず、ボールを放さなかった場合はのノットリリースザボールの反則となる。そのため、ボールまで完全に抑え込んでしまう、スマザータックルは非常に有効なディフェンスとなる。

 

ラック

両チーム1人以上の選手で地面のボールを取り合うプレー。グラウンドにボールが転がったとき、タックルが行われたときはラックになりやすい。

地面にあるボールは足で扱うのが原則。タックルを受けて地面に倒れ込んだプレーヤーは、ボールを放してその場から立ち去らなければいけない。ラック内のボールは足で描き出し、ボールがラックから出る、もしくは、ゴールライン上やインゴール内に入った時点でラックは終了となる。
ラックの間に攻撃側のチームは陣形を整え、いつでも攻撃に転じられるようにする必要がある。モールに適用される試験的実施ルールにより、ラック形成回数が多くなったため、ラックでボールを奪取し、速い球出しを行うことは、次の攻撃への重要なプロセスとなる。

 

モール

オフェンス側のチームのボール保持者がディフェンス側のチームにつかまり、オフェンス側のチーム2人以上、ディフェンス側のチーム1人以上、計3人以上の選手が組み合い、立った状態で両チームの選手が押し合い、ボールの争奪を行うプレー。モールを組んだ状態で押し込んでいくプレーを、ドライビングモールといい、ゴール前でのラインアウト後には有効な戦法。モール形成後、新たにモールに参加するプレーヤーは、味方プレーヤーの後方から加わらなければいけない。上から乗っかる、飛び掛かる、横から加わる行為は反則となる。ボールがモールから出ない、5秒以上ボールの前進が止まった場合、プレーは中断となり、スクラムによって再開される。なお、ボールが地面に転がった時点でラックとなる。

ELV

ディフェンス側のチームは、オフェンス側のモールを引き倒して止めることができる。ただし、相手選手の肩より下、腰より上の胴体部分をつかんで引き倒さなければいけない。これ以外の方法でモールを崩してしまった場合、コラプシングの反則を取られる。
従来は、いかなる方法もモールを崩す行為は反則と見なされていた。

ELV

モールに加わるプレーヤーは頭と肩を腰より低くした場合でも反則にはならない。
従来は、モールに加わるプレーヤーは頭と肩を腰より低くしてはならなかった。

 

スクラム

反則(ノックオンやスローフォワードなど軽い罰則が適用されるもの)が起こったり、ラックやモールからボールが出ない、前進が止まってしまうなどプレーが中断した後、プレーを再開させるためのひとつの方法として行われる。他のスポーツに類を見ない、激しいぶつかり合いによるボール争奪戦で、ラグビーの醍醐味とも言える。
反則のあった地点、もしくはプレーが停止した地点で、両チームのフォワード陣が決められた形で組み合い、押し合ってボールの争奪を行う。レフリーが「エンゲージ」の合図を出した後、両チームのフロントローが組み合う。スクラムハーフがスクラムの間にボールを投げ入れたら、スクラム合戦開始。ボールが地面についた後、両チームのフロントローが足を掻き始める。スクラム内のボールは手では扱えず、足でのみ操作可能。スクラムからボールが出る、インゴールにスクラムが入る、最後尾のプレーヤーがバインドを外す、いずれかが起きるとスクラムは終了。スクラムが終わるまではバインドし続けなければならず、故意にスクラムを崩した場合は反則となる。また、スクラムから一度ボールが出たら、再び戻すことはできず、そのまま攻撃につなげなければいけない。

 

ELV

スクラム時のオフサイドラインが、スクラムの一番後ろにいる選手の足から5メートル後方に設定される。スクラムに参加していないプレーヤーは、スクラムの最後尾の足から5メートル下がり、それ以上前に出るとオフサイドの反則を取られる。
従来は、スクラム時のオフサイドラインは、スクラムの一番後ろにいる選手の足を通る線だった。

ELV

ボール獲得のならなかったチームのスクラムハーフ(SH)には、下記の3つのオフサイドラインが存在する。

1.スクラム内のボールを越さない範囲で前進できる。

2.スクラムを離れないようにすれば、自チームのスクラム最後尾まで移動可能。ボールを投入したサイドであれば、ボールを越えない範囲で行き来できる。

3.他のスクラムに参加していない選手と同じように、スクラム最後尾の足から5メートル後方のオフサイドラインまで下がることができる。ただし、一度移動したら、スクラムが終わるまではオフサイドライン後方に留まらなければならない。この場合、ボールを出すのはFWの選手になる。